消防・防火実務2026.09.16 公開BK-02

消防計画の作り方|記載事項と届出の手順

目次

消防計画は、防火管理者の仕事の出発点です。訓練も、設備の点検も、日常の火気の管理も、すべてこの計画に書いてあることを実行するという形になります。逆に言えば、計画が無いと防火管理が始まりません。

この記事では、消防計画の作り方を、誰が作って誰に出すか記載する事項ひな形をそのまま使うと起きること変更のしかたの順に整理します。様式や記載の細かい運用は自治体で違います。所轄の消防署に確認してください。

防火管理の記録様式そのものを探している場合は、点検板に点検・記録の様式がそろっています。

結論:防火管理者が作り、管理権原者の指示のもとで届け出る

消防計画は、防火管理者が作成し、所轄の消防署長へ届け出るものです。

誰が
作成防火管理者
指示管理権原者(所有者・代表者など)
届出管理権原者の名前で
実行建物にいる全員

作るのは防火管理者、責任は管理権原者という形です。防火管理者がいないと作れないので、防火管理者の選任が先になります。

変更したときも届け出ます。人が変わった、設備が変わった、テナントが入れ替わった。このどれかがあれば、計画は古くなっています。

作るのは防火管理者、届け出るのは管理権原者防火管理者が作管理権原者が指管理権原者の名で届出建物の全員が実消防計画
作るのは防火管理者、届け出るのは管理権原者

記載する事項

消防法施行規則に、消防計画に定めることが列挙されています。骨格は次のとおりです。細目は条文と、所轄の消防署が配っているひな形で確認してください。

1. 自衛消防の組織

火災のときに誰が何をするかです。

やること
通報連絡班119番通報、館内放送、関係者への連絡
初期消火班消火器・屋内消火栓での初期消火
避難誘導班避難経路の確保、誘導、人数の確認
安全防護班防火戸の閉鎖、電源・ガスの遮断
応急救護班けが人の手当て、救急隊への引き継ぎ

人数が少ない事業所では、1人が複数の班を兼ねます。兼ねること自体は問題ありませんが、夜間や休日に誰もいない時間帯があるなら、その時間の体制も書きます。

2. 火災を予防するための事項

  • 火気の使用・取扱いの管理
  • 避難経路・避難口の管理
  • 防火戸・防火シャッターの周りに物を置かない
  • 収容人員の管理
  • 危険物・可燃物の管理

3. 消防用設備等の点検・整備

点検の周期と、誰が行うか。実施した結果をどう記録するか。設備の中身は消防設備点検とはにまとめています。

4. 避難通路・避難口の維持管理

日常でいちばん見られるところです。段ボール、什器、自転車。置いてあるものは、置いた人にとっては一時的でも、検査では常態に見えます。

5. 訓練の実施

種類と回数、時期。特定防火対象物では消火訓練と避難訓練を年2回以上行うこととされています。進め方は消防訓練の進め方にまとめています。

6. 火災のときの措置

通報、初期消火、避難誘導の手順。夜間・休日の体制もここに書きます。

7. 地震・その他の災害への対応

該当する建物では、地震対策や、帰宅困難者対策を含めることが求められることがあります。

消防計画は7つの塊自衛消防の組織通報・消火・避難誘導予防と点検火気・避難経路・設備訓練と火災時の措置夜間・休日も含める
消防計画は7つの塊でできている
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実際に使える様式が必要な方へ

防火管理の記録や点検の様式を一から作るのは手間がかかります。既成の様式を使いたい方は点検板をご覧ください。

点検板で様式をさがす

ひな形をそのまま出すと起きること

多くの消防署がひな形を配っています。それを使うのは正しいのですが、中身を自分の建物に合わせないまま出すと、実際には動かない計画になります。

ひな形のまま起きること
班に氏名が入っていない当日、誰が通報するか決まっていない
夜間・休日の体制が空欄人がいない時間帯の想定が無い
避難経路が一般的な記述実際の階段・出口と対応していない
訓練の時期が「随時」結局やらない年が出る

直すのは4か所だけで十分です。氏名、夜間休日、実際の避難経路、訓練の月。ここが自分の建物の言葉になっていれば、計画として成立します。

図面を添える

言葉で避難経路を書くより、平面図に矢印を描いたものを添えるほうが伝わります。消火器と消火栓の位置、防火戸の位置、避難口。訓練のときにそのまま使えます。

届出の手順

段階やること
1所轄の消防署でひな形と必要書類を確認する
2自分の建物に合わせて作る(氏名・体制・経路・訓練時期)
3管理権原者の確認を受ける
4消防計画作成(変更)届出書を添えて提出する
5受付印のある控えを受け取る
6建物内で共有する(事務所に掲示、各班へ配る)

6が抜けがちです。届け出た計画が事務所の引き出しにしまってあると、当日に誰も内容を知らない状態になります。

届け出たら共有するまでが作成1作る氏名・体制・経路・訓練の月2届け出る管理権原者の名で3**共有する**掲示・各班へ配る4読み合わせ年1回。交代した人にも届く
届け出たら建物内で共有するまでが作成

提出のタイミング

防火管理者の選任届と同時か、その直後です。選任だけ出して計画を出していないと、防火管理者はいるのに何も決まっていない状態になります。

ひな形で直すのは4か所直すところ直さないと各班の氏名当日、誰が通報するか決まらな夜間・休日の体制人がいない時間の想定が無い実際の避難経路階段・出口と対応しない訓練の月結局やらない年が出る
ひな形で直すのは4か所

変更するとき

次のどれかがあれば、計画は古くなっています。

変わったこと直すところ
防火管理者が交代した選任届と計画の両方
自衛消防の担当者が変わった各班の氏名
テナントが入れ替わった収容人員、体制、避難経路
設備を増やした・減らした設備の点検の項
建物を増改築した避難経路、図面
営業時間が変わった夜間・休日の体制

人事異動の4月に見直すと決めておくと、古いまま何年も置かれることが減ります。

変更届も届出が要る

内容を変えたら、変更の届出を出します。差し替えて終わりではありません。控えも新しいものに入れ替えます。

小規模な事業所の作り方

従業員が10人に満たない事業所でも、収容人員によっては防火管理者と消防計画が必要になります。人数が少ないほど、計画は短くて構いません。

1人が複数の班を兼ねる

人数組み方の例
3〜5人通報+初期消火/避難誘導の2班
6〜10人通報/初期消火/避難誘導の3班
11人以上安全防護・応急救護を分ける

兼ねること自体は問題ありません。大事なのは、兼ねる前提で計画に書いてあるかです。書いていないと、実態と計画が食い違います。

「誰もいない時間」を書く

小規模な事業所ほど、1人しかいない時間帯があります。そのときの手順を1行書いておきます。

  • 「17時以降は◯◯1名。出火を発見したら、初期消火より先に119番通報と避難を優先する」

人数が足りないときは、消火より避難を先にするという決め方を書いておくのが現実的です。

人が少ないときの決め方人数がいる初期消火を試みる同時に通報と避難班を分けられる1人しかいない**消火より避難を優先**119番通報を先にこれを計画に書いておく
人数が少ないときは、消火より避難を先に

共有のしかた

届け出た計画が事務所の引き出しにあると、当日に誰も内容を知りません。共有まで含めて計画の作成です。

やること効果
事務所に1部掲示するいつでも見られる
各班の担当者に自分の欄だけ配る自分がやることが分かる
平面図を避難経路つきで各階に貼る来訪者にも伝わる
朝礼や会議で年1回読み合わせる交代した人にも届く

2つ目が効きます。計画を全部読ませるのは無理でも、「あなたは通報連絡班。やることは119番と館内放送」という1枚なら読まれます。

新しく入った人へ

入社・異動のときに、自分がどの班かを伝えるのを手続きに入れておきます。半年後の訓練で初めて知る、という状態を避けられます。

訓練とつなげる

計画に書いた班のとおりに訓練をします。書いてある通りに動けなかった部分が、計画の直しどころです。訓練の進め方は消防訓練の進め方にまとめています。

計画を短くする

分厚い計画は読まれません。添付を分けると本体が短くなります。

本体に書く添付にする
体制、予防、点検、訓練、火災時の措置平面図、設備の一覧、名簿、緊急連絡先

名簿と連絡先を添付にしておくと、人が変わったときに添付だけ差し替えられます。本体を毎回作り直さずに済みます。

よくある質問

消防計画は自分で作れますか

作れます。所轄の消防署がひな形を配っており、東京消防庁のように作成を支援するツールを公開しているところもあります。ただし自分の建物に合わせる部分は自分で埋めます。専門知識が要る部分は、消防署の予防係に相談すると教えてもらえます。

何ページくらいになりますか

建物の規模によります。小規模な事業所なら数ページ、大規模なビルなら数十ページになります。分量より、氏名と体制と経路が実際と合っているかが大事です。

テナントとして入居しています。うちも作りますか

管理権原が分かれている建物では、それぞれの管理権原者が防火管理者を選任し、計画を作ることになります。そのうえで建物全体をまとめる統括防火管理者と全体の計画が必要になることがあります。ビルの管理会社に確認してください。

訓練をやっていない年があります

計画に書いた回数を実施していないと、指導の対象になります。気づいた時点で実施して記録を残すのが先です。回数が多すぎて回らないなら、計画のほうを実態に合う形へ直します(ただし法令で定められた最低回数は下回れません)。

消防計画と防災計画は違いますか

別のものです。消防計画は消防法に基づくもの、防災計画(防災管理に係る消防計画)は大規模な建物で地震等に備えるものです。兼ねて1つの計画にしている建物もあります。該当するかは消防署に確認してください。

まとめ

消防計画は防火管理者が作り、管理権原者の名前で所轄の消防署へ届け出ます。中身は、自衛消防の組織、予防の事項、設備の点検、避難経路の維持、訓練、火災時の措置、その他の災害の7つが骨格です。

ひな形を使うのは正しいのですが、氏名・夜間休日の体制・実際の避難経路・訓練の月の4か所を自分の建物の言葉に直さないと、当日に動かない計画になります。平面図に矢印を描いたものを添えると、訓練でそのまま使えます。

そして、届け出たら建物内で共有します。引き出しにしまってある計画は、誰も内容を知らないのと同じです。人事異動の4月に見直す、と決めておくと古いまま置かれることが減ります。

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