設備の保安と点検実務2026.09.05 公開TK-07

フロンの簡易点検|3か月に1回、誰が何を見るか

目次

業務用のエアコンや冷凍機を持っている事業者には、フロン類の管理に関する義務があります。そのうちいちばん頻度が高いのが簡易点検で、3か月に1回とされています。専門の業者でなくても行えるのですが、やっていない建物が多くあります。

この記事では、フロンの簡易点検を、対象になる機器誰が行うのか見る項目定期点検との違い記録の残し方の順に整理します。適用される規定は機器の種類と出力で変わります。自分の設備に何が適用されるかは、所在地の都道府県のフロン担当課に確認してください。

空調設備の点検記録そのものを探している場合は、点検板に施設向けの様式がそろっています。

結論:3か月に1回、自分たちで見て記録する

フロン類を使う業務用の機器を持つ事業者には、管理者としての義務があります。

やることは大きく3つです。

1つ目は、適切な場所への設置と、周囲の環境の維持です。機器の周りを整え、点検できる状態にしておきます。

2つ目は、点検です。すべての対象機器について3か月に1回以上の簡易点検、一定の出力以上の機器について定期点検が求められています。

3つ目は、記録の作成と保存です。点検の結果、整備の内容、充塡と回収の量。

管理者の3つの義務設置と環境点検できる状態に保つ点検簡易点検と定期点検記録作成して保存する
設置と環境・点検・記録という3つの管理者の義務を並べた層の図

2つ目のうち、簡易点検は自分たちで行えます。専門の資格は求められていません。3か月に1回、見て記録するだけです。ここをやっていない建物が多いのは、義務があることを知らないためです。

対象になる機器

対象になるのは、業務用の冷凍空調機器です。

代表的なものは4つです。

1つ目は、店舗やビルの業務用エアコンです。天井に埋め込まれたもの、床置きのもの。

2つ目は、冷蔵と冷凍のショーケースです。

3つ目は、冷凍機と冷凍冷蔵ユニットです。

4つ目は、チラーなどの熱源機器です。

対象になる機器機器業務用エアコン天井埋込・床置きショーケース冷蔵と冷凍冷凍機冷凍冷蔵ユニット熱源機器チラーなど
業務用エアコン・ショーケース・冷凍機・熱源機器という4つの対象を並べた表

家庭用のエアコンは対象になりません。家庭用と業務用の区別は、機器の仕様で決まります。自分の建物の機器がどちらかは、銘板を見るか、設置した業者に確かめてください。

テナントが自分で設置した機器は、その機器を管理している者が義務を負うのが基本です。契約と実態で判断が分かれることがあるので、所在地の都道府県のフロン担当課に確かめてください。

誰が行うのか

簡易点検は、その機器を管理している事業者が行います。

押さえるのは3つです。

1つ目は、資格が要らないことです。専門の資格は求められていません。

2つ目は、自社の人が行えることです。設備の担当者、店舗の従業員。

3つ目は、委託してもよいことです。空調の保守業者に頼むこともできます。

誰が行うか3つ1資格は不要専門の資格は求められない2自社で行える設備の担当や従業3委託もできる保守業者に頼む形
資格不要・自社で行える・委託もできるという3つの実施者の考え方を並べたフロー

3か月に1回という頻度なので、自社で行うほうが現実的です。保守の契約に含めると、そのぶん費用が乗ります。設備の巡回のついでに見る形にしている建物が多くあります。

見る項目

簡易点検で見るのは、外から分かることです。機器を分解する必要はありません。

見るのは5つです。

1つ目は、異音と異常な振動です。普段と違う音がしていないか。

2つ目は、油のにじみです。配管の接続部や、機器の下に油が垂れていないか。冷媒が漏れると、一緒に油もにじみます。

3つ目は、霜の付き方です。普段と違う場所に霜が付いていないか。

4つ目は、熱交換器の汚れと損傷です。フィンが潰れていないか、ほこりで詰まっていないか。

5つ目は、機器の周りです。物が置かれていないか、腐食していないか。

主な点検項目見るところ気づきたいこと異音と振動普段と違う音油のにじみ漏れの分かりやすい合図霜の付き方普段と違う場所熱交換器と周囲フィンの潰れ・ほこり・物
異音・油のにじみ・霜・熱交換器・周囲という主な点検項目を並べた表
点検表テンプレート
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実際に使える様式が必要な方へ

空調設備の点検記録と期限をまとめて管理する様式は、点検板でそのまま使えます。

この様式をひらく

2つ目がいちばん分かりやすい合図です。冷媒が漏れている機器は、接続部に油のにじみが出ることがあります。見つけたら、空調の業者に連絡してください。

定期点検との違い

簡易点検とは別に、定期点検があります。両方が必要な機器があります。

簡易点検定期点検
対象すべての対象機器一定の出力以上の機器
頻度3か月に1回以上出力によって1年に1回、3年に1回
行う人資格不要十分な知見を有する者
方法目視が中心直接法または間接法による確認
簡易点検と定期点検は別簡易点検すべての対象機器3か月に1回以上資格不要目視が中心定期点検一定の出力以上1年か3年に1回知見を有する者保守業者に頼む
簡易点検と定期点検で、対象と頻度と実施者が違うことを並べた比較の図

定期点検は、専門の知見を持つ人が行います。空調の保守業者に頼むのが一般的です。自分の機器が定期点検の対象かどうかは、出力で決まります。銘板の値を確かめて、所在地の都道府県のフロン担当課か保守業者に確かめてください。

漏れを見つけたときの動き

冷媒の漏れが疑われたときは、使い続けないことが原則です。

動きは4段です。

1つ目は、保守業者に連絡することです。症状と、気づいた日時を伝えます。

2つ目は、点検してもらうことです。どこから漏れているかを特定します。

3つ目は、修理してから充塡することです。漏れを直さずに冷媒を足すことは認められていません。

4つ目は、記録に残すことです。整備の内容、充塡した量、回収した量。

3つ目が重要です。「冷えないからガスを足す」を繰り返している現場がありますが、漏れたまま充塡することは認められていません。足しても、また漏れます。

記録の残し方

フロンの管理では、記録の作成と保存が求められています。

残すのは4つです。

1つ目は、点検の記録です。簡易点検と定期点検の実施日と結果。

2つ目は、整備の記録です。修理の内容と日付。

3つ目は、充塡と回収の記録です。業者から受け取る証明書。

4つ目は、機器の一覧です。設置の場所、型番、出力、設置の年。

残す4つの記録記録中身点検簡易と定期の実施日と結果整備修理の内容と日付充塡と回収業者から受け取る証明書機器の一覧場所・型番・出力・設置年
点検・整備・充塡と回収・機器一覧という4つの記録を並べた表

4つ目を先に作ってください。一覧が無いと、何台あるのかも分かりません。建物を1周して、機器の写真と銘板を撮るところから始まります。半日で終わります。

一定量以上の漏えいは報告が要る

算定した漏えい量が一定を超える場合、国に報告することが求められています。

押さえるのは3つです。

1つ目は、漏えい量を算定することです。充塡した量と回収した量から計算します。

2つ目は、事業者単位で見ることです。建物ごとではなく、事業者全体の合計で判断します。

3つ目は、報告の期限があることです。年度ごとに、定められた時期までに報告します。

2つ目を見落とす会社があります。店舗を多く持つ事業者では、1店舗ごとは少なくても合計すると超えることがあります。各店舗の充塡の記録を本社で集める仕組みが要ります。詳しい扱いは、所在地の都道府県のフロン担当課に確かめてください。

機器を捨てるときの手続き

機器を廃棄するときは、冷媒を回収してから処分します。

流れは4段です。

1つ目は、回収を依頼することです。登録を受けた業者に頼みます。

2つ目は、行程管理票を交付することです。回収から処理までの流れを追う伝票です。

3つ目は、回収されたことを確かめることです。返ってきた伝票を確かめます。

4つ目は、保存することです。

回収せずに廃棄することはできません。解体や改装の工事のときに、業者がまとめて処分してしまうことがあります。工事の契約のときに、フロンの回収を含めることと、伝票を渡してもらうことを書いてください。

機器一覧の作り方

フロンの管理は、機器の一覧が土台になります。無いと点検も記録も始まりません。

入れる列は5つです。

1つ目は、管理番号です。自分たちで付けます。機器にシールを貼っておくと、点検のときに迷いません。

2つ目は、設置の場所です。階、部屋、屋外機の位置。

3つ目は、型番と冷媒の種類です。銘板に書かれています。写真を撮っておくと確実です。

4つ目は、出力です。定期点検の対象かどうかがここで決まります。

5つ目は、設置の年です。古い機器ほど漏れやすくなります。

1つ目のシール貼りが効きます。点検のときに「この機器は一覧のどれか」を探す時間が消えます。番号は建物と階が分かる形にすると、記録を見たときに場所が思い浮かびます。

古い機器と新しい機器で扱いが違う

冷媒には種類があり、古い機器に入っているものほど扱いが厳しくなっています。

押さえるのは3つです。

1つ目は、冷媒の種類です。機器の銘板に書かれています。種類によって、漏えい量の算定の係数が変わります。

2つ目は、古い機器は補充が難しくなることです。生産や輸入が段階的に減らされている冷媒があります。漏れたときに補充できないことが起こりえます。

3つ目は、更新の計画です。古い機器を持っている場合、壊れてからでは対応が遅れます。

2つ目が実務に効きます。「修理すれば使える」と思っていても、冷媒が手に入らなければ止まります。設置から年数がたった機器は、更新の時期を早めに考えてください。保守業者に、その冷媒の入手の見通しを聞くと分かります。

巡回のついでに回す形にする

簡易点検は3か月に1回です。専用の時間を作ると続きません。既にある巡回に組み込みます。

組み込み方は4つです。

1つ目は、四半期の最初の月に固定することです。1月、4月、7月、10月。日付まで決めておくと忘れません。

2つ目は、点検の順路を決めることです。機器一覧の番号順に回れるよう、番号の付け方を場所に沿わせます。

3つ目は、記録の様式を1枚にすることです。機器を縦に、点検項目を横に並べた表。印を付けるだけの形にします。

4つ目は、写真を撮ることです。気になった箇所だけ。前回の写真と比べられます。

3つ目が続くかどうかを決めます。機器ごとに1枚の様式にすると、20台あれば20枚になります。1枚に全部を並べれば、10分で終わります。書く量を減らすほど、実施の記録が残ります。

まとめ

フロンの簡易点検は、3か月に1回、自分たちで見て記録するものです。

  • 対象は業務用の冷凍空調機器。家庭用は対象外
  • 簡易点検に資格は要らない。設備の巡回のついでに見る形が現実的
  • 見るのは、異音・油のにじみ・霜・熱交換器・周囲の5つ
  • 一定の出力以上の機器には、別に定期点検がある
  • 漏れを直さずに冷媒を足すことは認められていない

適用される規定は機器の種類と出力で変わります。自分の設備に何が適用されるかは、所在地の都道府県のフロン担当課に確認してください。

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実際に使える様式が必要な方へ

空調設備の点検記録と期限をまとめて管理するなら、点検板の様式が近道です。

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よくある質問

Q. 簡易点検は誰がやってもよいですか。 A. 資格は求められていません。自社の担当者が行えます。見る項目を決めて、写真つきの手順書を1枚作ると、誰がやっても同じ結果になります。

Q. 3か月に1回を忘れてしまいます。 A. 設備の巡回の予定に組み込んでください。四半期の最初の月に固定すると忘れません。記録の様式に、次回の予定日を書く欄を作る方法もあります。

Q. テナントのエアコンも建物が点検しますか。 A. その機器を管理している者が義務を負うのが基本です。契約と実態で判断が分かれることがあります。所在地の都道府県のフロン担当課に確かめてください。館内規則で役割を決めておくと揉めません。

Q. 定期点検の対象かどうか、どう分かりますか。 A. 機器の出力で決まります。銘板に書かれています。保守業者か、所在地の都道府県のフロン担当課に確かめてください。対象なのに行っていない機器があります。

Q. 冷えないので、ガスを足してもらいました。 A. 漏れを直さずに充塡することは認められていません。どこから漏れているかを特定して、直してから充塡します。足すだけを繰り返すと、また同じことになります。

Q. 記録は何年保存しますか。 A. 保存の年数が定められています。所在地の都道府県のフロン担当課に確かめてください。点検の記録、整備の記録、充塡と回収の記録をまとめて1つのファイルにしてください。

Q. 機器が何台あるか分かりません。 A. 建物を1周して、機器の写真と銘板を撮ってください。半日で終わります。一覧が無いと、点検も記録も始められません。

Q. 漏えい量の報告は、どこに出しますか。 A. 事業者単位で算定し、定められた時期までに報告します。建物ごとではなく事業者全体の合計で判断します。手続きは所在地の都道府県のフロン担当課に確かめてください。

Q. 改装工事で古いエアコンを外します。 A. 冷媒を回収してから処分します。工事の契約に、フロンの回収と行程管理票の交付を含めてください。業者がまとめて処分してしまうと、伝票が残りません。

Q. 油のにじみを見つけました。 A. 保守業者に連絡してください。冷媒が漏れている可能性があります。気づいた日時と場所を記録に残してから連絡すると、調べる範囲が絞れます。

Q. 点検の様式は決まっていますか。 A. 様式そのものは定められていませんが、記録すべき事項があります。点検の日、機器、点検した人、結果。業界団体が様式の例を出していることがあるので、それを土台にすると早く作れます。

Q. 保守契約に簡易点検を含めたほうがよいですか。 A. 含められますが、費用が乗ります。3か月に1回という頻度なので、自社で行うほうが現実的です。定期点検のほうは、専門の知見が要るので業者に頼んでください。

Q. 機器にシールを貼ってよいですか。 A. 構いません。管理番号を貼っておくと、点検のときに探す時間が消えます。屋外機は日光で劣化するので、耐候性のあるシールを選んでください。

Q. 古い冷媒の機器は、すぐ替えるべきですか。 A. すぐでなくて構いませんが、冷媒の入手の見通しを保守業者に聞いてください。漏れたときに補充できないと、その時点で使えなくなります。更新の計画を早めに立てられます。

Q. 点検の様式を1枚にまとめてよいですか。 A. 構いません。記録すべき事項が入っていれば、形は自由です。機器を縦、項目を横に並べた表にすると、1枚で全機器が収まります。書く量が減るほど続きます。

Q. 写真は残す必要がありますか。 A. 義務ではありませんが、気になった箇所だけ撮っておくと次回に比べられます。油のにじみや霜の付き方は、写真で比べるといちばん分かりやすくなります。