消防・防火手続き2026.05.30 公開BK-05

火気使用届とは?出す場面と書き方、届出先

目次

イベントで火を使いたい、館内で溶接の工事をしたい。そういう話が出たときに求められるのが火気使用届です。建物の中で、普段は火を使わない場所で火を使うときに出す届出で、出す先は所轄の消防署になります。

この記事では、火気使用届を、どういう場面で要るのか書く項目出すまでの段取り当日の備え断られたときの考え方の順に整理します。名称も様式も自治体によって違い、「火気使用承認申請」「禁止行為の解除承認申請」などの名前で運用されていることがあります。自分の建物でどれにあたるかは、所轄の消防署に確認してください。

防火管理の記録や点検の様式そのものを探している場合は、点検板に施設向けの様式がそろっています。

結論:普段と違う場所で火を使うなら、先に消防署へ

火気使用届は、建物の防火の前提が変わるときに出すものです。設計のときに想定していない場所で火を使うと、消火設備の効き方も避難の考え方も変わります。だから、使う前に届け出て確かめる形になっています。

出す場面は大きく3つに分かれます。

1つ目は、催し物で火を使う場合です。イベントの調理、キャンドル、演出の炎。

2つ目は、工事で火を使う場合です。溶接、溶断、はんだ、熱で溶かす作業。

3つ目は、普段は禁止されている場所で使う場合です。劇場、百貨店、地下街など、火気の使用が制限されている場所で、例外として使うとき。

届出が要る3つの場面催し物調理・キャンドル・演出工事溶接・溶断・はんだ禁止の場所劇場や地下街など
催し物・工事・禁止場所という3つの届出の場面を並べた層の図

3つとも、共通しているのは「一時的」であることです。恒久的に厨房を作るような話は、届出ではなく設備の計画として別の手続きになります。判断に迷うものは所轄の消防署に相談してください。

名前が自治体によって違う

火気使用届は、全国で1つの様式に統一されていません。火災予防条例が自治体ごとに定められているためです。

呼ばれ方の例使われる場面
火気使用届出書一般的な呼び方。届け出て受理される形
禁止行為の解除承認申請書火気の使用が禁止された場所での例外を求める形
火気使用承認申請書承認を受ける形。受理だけでは足りない
催物開催届出書催し物そのものの届出。火気の使用を含む場合がある
呼ばれ方が自治体で違う呼ばれ方使われる場面火気使用届出書出せば足りる形禁止行為の解除承認申請書禁止された場所での例外火気使用承認申請書認められて使える形催物開催届出書催し物そのものの届出
届出・承認・申請という呼ばれ方の違いと、使われる場面を並べた表

「届出」と「承認」では重さが違います。届出は出せば足りるもの、承認は消防署が認めてはじめて使えるものです。承認が要る場合は、認められないこともあるという前提で予定を組みます。

自分の自治体の呼び方と様式は、消防本部のホームページに載っていることが多くあります。見つからなければ電話で聞くのが早い形です。

書く項目

様式は違っても、書く中身はおおむね共通しています。

1つ目は、使う場所です。建物の名前、階、部屋、屋内か屋外か。図面を添えます。

2つ目は、使う日時です。開始と終了の時刻まで書きます。準備と片づけの時間も含めます。

3つ目は、何を使うかです。器具の名称、燃料の種類と量、台数。

4つ目は、誰が管理するかです。現場で火を見る人の氏名と連絡先。

5つ目は、消火の備えです。消火器の種類と本数、置く場所。

主な記載事項項目書き方場所階と部屋。図面を添える日時準備と片づけも含める器具と燃料種類と量と台数管理者と消火の備え氏名と消火器の本数
場所・日時・器具と燃料・管理者・消火の備えという主な記載事項を並べた表

いちばん見られるのは燃料の量です。カセットこんろを何台使うか、ボンベを何本持ち込むか。量によっては別の手続きが必要になるので、正確に書きます。少なく書いて当日に増えると、その場で止められます。

出すまでの段取り

届出は、当日に持って行っても間に合いません。逆算して動きます。

段取りは4段です。

1つ目は、所轄の消防署に電話することです。やりたいことを伝えて、どの手続きが要るかを聞きます。ここを飛ばすと、様式を間違えます。

2つ目は、様式と図面をそろえることです。会場の配置図に、火を使う位置と消火器の位置を書き込みます。手書きで構いません。

3つ目は、提出することです。窓口へ持参する形が基本ですが、郵送や電子で受け付ける自治体もあります。提出の期限は自治体で違い、7日前、10日前、2週間前などの幅があります。

4つ目は、受理の控えを受け取ることです。当日に求められることがあります。

出すまでの4段1電話どの手続きが要るか聞2書類と図面火と消火器の位置を書3提出期限は7日〜2週間前4控え当日に求められる
電話・書類・提出・控えという4段の段取りのフロー

期限は「営業日」で数えられることがあります。土日や連休をまたぐと足りなくなります。イベントの日が決まった時点で、逆算した提出期限を予定表に入れておくと確実です。

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届出と点検の期限をまとめて管理する様式は、点検板でそのまま使えます。

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当日に備えるもの

届け出れば終わりではありません。当日の備えが伴っていないと、その場で中止になります。

備えるのは4つです。

1つ目は、消火器です。届出に書いた本数を、書いた場所に置きます。建物に備え付けのものを数に入れてよいかは、消防署の指示によります。

2つ目は、火を見る人です。届出に名前を書いた人が、その時間その場所にいる形にします。交代する場合は交代する人の名前も出します。

3つ目は、燃料の置き場です。予備のボンベや燃料を火のそばに置かないこと。離す距離は器具によって違います。

4つ目は、受理の控えです。その場で提示を求められることがあります。

当日に備える4つ備え中身消火器届出の本数を書いた場所に火を見る人届出に書いた人がその場に燃料の置き場火から離す受理の控え提示を求められる
消火器・火を見る人・燃料の置き場・控えという4つの当日の備えを並べた表

消防署の立ち会いが入ることがあります。大きな催し物や、来場者の多いイベントでは、当日に職員が見に来ます。届出の内容と現場が違っていると、そこで是正を求められます。

断られたとき、条件が付いたとき

申請が通らないこと、条件が付くことがあります。そのときに現場で押し切らないことが大事です。

よくある形は3つです。

1つ目は、場所を変えるよう言われる場合です。避難の経路にかかっている、消火設備の効きが悪い場所にあたる。配置図を直せば通ることが多くあります。

2つ目は、量を減らすよう言われる場合です。燃料の持ち込み量、器具の台数。

3つ目は、監視の人を増やすよう言われる場合です。来場者が多い場合に求められます。

条件が付く3つの形場所を変える避難経路にかかっている量を減らす燃料と台数監視を増やす来場者が多い場合
場所・量・監視という3つの条件の付き方を並べた層の図

条件を守らずに実施すると、次から通らなくなります。同じ建物で毎年やる催し物なら、関係は続きます。今年の1回のために、来年以降を難しくしないことです。

工事で火を使うときの追加の備え

溶接や溶断は、火の粉が飛ぶという点で催し物とは違います。備えも変わります。

追加で要るのは4つです。

1つ目は、火花の養生です。不燃のシートで囲う、下に敷く。隙間から落ちた火花が、階下で燃えた例があります。

2つ目は、周りの可燃物の撤去です。段ボール、布、塗料。「離す」ではなく「どける」が基本です。

3つ目は、作業後の見回りです。終わってから時間が経って燃え出すことがあります。終了後30分から1時間は現場を見る形にします。

4つ目は、自動火災報知設備の扱いです。煙や熱で誤作動することがあります。止める場合は、止めたことを誰が知っているかを決め、戻すまでを1人の担当に持たせます。

火災報知設備を止めたまま戻し忘れる事故が実際に起きています。止めた時刻と戻した時刻を紙に書いて、戻すまで担当者が持ち歩く形にしてください。

テナントに任せきりにしない

貸しビルや商業施設では、火を使うのはテナントで、届出もテナントが出すことがあります。それでも建物の側が知らないままにはしません。

建物の側ですることは3つです。

1つ目は、事前に申し出てもらう仕組みを作ることです。契約書か館内規則に、火を使う場合は事前に届け出ると書いておきます。

2つ目は、控えの写しをもらうことです。いつ、どこで、何をするかを建物の側でも把握します。

3つ目は、当日に見に行くことです。届出のとおりになっているかを、防災センターの担当が1回見ます。

建物全体の防火管理は、建物の側の責任として残ります。テナントが出した届出だから知らなかった、では通りません。

記録として残しておく

火気使用届は、出したら終わりの書類に見えますが、残しておくと次に効きます。

残すのは3つです。

1つ目は、届出の控えと図面です。次に同じ催し物をやるとき、そのまま使えます。

2つ目は、付いた条件です。「今年は監視を2人と言われた」という事実を残します。

3つ目は、当日の記録です。開始と終了の時刻、火を見た人、異常の有無。

3つを1つのファイルに、催し物ごとに綴じておきます。担当者が替わったときに、ゼロから消防署に聞き直さずに済みます。年に何度も火を使う建物ほど、この蓄積が効きます。

社内で決めておく手順

火気使用届は、必要だと気づくのが遅れることがいちばんの問題になります。イベントの3日前に相談されても間に合いません。社内の手順を先に作っておきます。

決めるのは4つです。

1つ目は、相談の入口です。「火を使うかもしれない」という段階で、施設の担当に話が来る形にします。企画の担当者は、届出が要ることを知りません。知らない人が気づける仕組みにしないと、毎回ぎりぎりになります。

2つ目は、判断する人です。届出が要るかどうかを、社内の誰が判断するか。判断できないものは消防署に電話する、というところまで決めておきます。「たぶん要らない」で止めないことです。

3つ目は、逆算の期限です。イベントの日が決まったら、提出の期限と、図面を作る期限を自動的に決めます。カレンダーに入れる担当も決めます。

4つ目は、当日の担当です。火を見る人、消火器を置く人、控えを持つ人。届出に名前を書く人と、実際に当日いる人が違っていると意味がありません。

4つを1枚の手順書にして、企画の担当が見る場所に置きます。施設の担当だけが知っている状態では、話が来ません。社内の誰かが火を使いたいと思った瞬間に見える場所が正しい置き場所です。

年間の予定から先に洗い出す

毎年決まった時期にやる催し物がある建物では、年度の初めにまとめて洗い出すほうが早く終わります。

やり方は3つです。

1つ目は、去年の実績を並べることです。去年1年で火を使った催し物を、日付順に書き出します。届出の控えが残っていれば、そのまま一覧になります。

2つ目は、今年の予定を重ねることです。同じ催し物がある月に印を付けます。この時点で、提出の期限も一緒に書き込みます。

3つ目は、担当を割り当てることです。催し物ごとに、届出を出す担当を決めます。決めていないと、直前に押し付け合いになります。

洗い出しは1時間で終わります。それで1年分の慌ただしさが消えるなら、割に合う作業です。年度の途中で増えた催し物だけ、その都度の手順で回します。

まとめ

火気使用届は、普段と違う場所で一時的に火を使うときに、所轄の消防署へ出すものです。

  • 場面は、催し物・工事・火気が禁止された場所の3つ
  • 名称と様式は自治体で違う。「届出」と「承認」では重さが違う
  • 書くのは、場所・日時・器具と燃料・管理する人・消火の備え
  • 提出の期限は7日前から2週間前の幅がある。営業日で数えることがある
  • 工事では、養生・可燃物の撤去・作業後の見回り・火災報知設備の扱いが追加で要る

名称も様式も期限も自治体で違います。まず所轄の消防署に電話して、どの手続きが要るかを確かめてください。

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実際に使える様式が必要な方へ

届出と点検の記録をまとめて管理するなら、点検板の様式が近道です。

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よくある質問

Q. 社員食堂で普段どおり調理する場合も、届出が要りますか。 A. 恒常的に使っている厨房での通常の調理は、火気使用届の対象ではないのが一般的です。設備として設置のときに手続きを済ませているためです。ただし扱いは自治体によって違うので、所轄の消防署に確かめてください。

Q. カセットこんろ1台でも届出が要りますか。 A. 台数ではなく、場所と用途で決まります。普段火を使わない場所で使うなら、1台でも対象になることがあります。自分で「少ないから大丈夫」と判断しないことです。

Q. 提出はどのくらい前ですか。 A. 7日前、10日前、2週間前など自治体で違います。営業日で数えることもあります。所轄の消防署に確かめて、イベントの日が決まった時点で逆算した期限を予定に入れてください。

Q. 電子で提出できますか。 A. 電子申請を受け付けている自治体が増えています。ただし図面の添付の方法が決まっていることがあります。所轄の消防署に確かめてください。

Q. 受理されたあとに、内容が変わりました。 A. 変わった時点で消防署に連絡します。日時の変更、場所の変更、器具の増加。当日に現場が届出と違っていると、その場で止められます。

Q. 屋外のイベントでも届出が要りますか。 A. 屋外でも、火を使う催し物については届出や、消火器の準備が求められることがあります。露店を出す催しについては別の届出が定められている自治体があります。所轄の消防署に確かめてください。

Q. 消火器は何本要りますか。 A. 使う器具と燃料の種類、規模によります。届出のときに消防署から指示されることが多くあります。建物の備え付けを数に入れてよいかも、あわせて確かめてください。

Q. 溶接の工事で、火災報知設備を止めてもよいですか。 A. 止めること自体はありますが、止めた範囲と時間を管理する必要があります。止めたまま戻し忘れる事故が起きています。止めた時刻と戻す担当を紙に書いて、1人が持ち歩く形にしてください。

Q. テナントが届出を出しました。建物の側でも控えが要りますか。 A. 法令上の義務として必ず要るわけではありませんが、もらっておくべきです。建物全体の防火管理の責任は建物の側に残ります。館内規則に「控えを提出する」と書いておくと集まります。

Q. 届出を出さずに火を使ってしまいました。 A. 気づいた時点で所轄の消防署に相談してください。隠すほうが問題が大きくなります。次回からの手続きを整える形で、再発を防ぐことになります。

Q. 毎年同じ催し物をやっています。まとめて出せますか。 A. 開催のたびに出すのが基本です。ただし同じ内容なら、前年の控えを使って書くことで手間は減ります。所轄の消防署に、同じ内容である旨を伝えると話が早く進みます。

Q. 届出の控えは何年残しますか。 A. 法令で年数が定められているものではありませんが、少なくとも次の同じ催し物までは残します。条件の付き方まで含めて残すと、次の年の準備がそのまま進みます。

Q. 届出の様式が見つかりません。 A. 消防本部のホームページの「各種申請・届出様式」にまとまっていることが多くあります。見つからない場合は電話で聞いてください。様式を自作しないことです。受け付けてもらえないことがあります。

Q. 火気使用届と催物開催届は、両方出しますか。 A. 催し物の規模と内容によります。両方が必要になることも、どちらか一方で足りることもあります。所轄の消防署に、やりたいことを説明して確かめてください。