事業系ごみの保管場所|分け方と、におい対策
目次
ごみ置き場は、建物の中でいちばん苦情が出やすい場所です。におい、虫、カラス、置き場からあふれる量。しかも、事業所から出るごみは家庭ごみとは扱いが違い、集積所に出すことができません。
この記事では、事業系ごみの保管場所を、家庭ごみとの違い、保管場所に求められること、分け方、におい対策と害虫対策、テナントとの取り決めの順に整理します。分別の区分と処理の方法は市区町村によって違います。自分の建物に何が適用されるかは、所在地の市区町村の廃棄物担当課に確認してください。
結論:事業所から出るごみは、自分で処理する責任がある
事業活動から出るごみは、事業系廃棄物として扱われます。家庭ごみの集積所に出すことはできません。
分かれるのは2つです。
1つ目は、産業廃棄物です。法令で定められた種類のごみ。金属くず、廃プラスチック類、汚泥など。許可を受けた業者に委託し、管理票で流れを追います。
2つ目は、事業系一般廃棄物です。産業廃棄物にあたらないもの。紙くず、生ごみ、木くずなど。市区町村の許可を受けた業者に頼むか、自分で処理施設へ持ち込みます。
同じ「紙くず」でも、業種によって扱いが変わることがあります。判断に迷うものは、所在地の市区町村の廃棄物担当課に確かめてください。間違えて出すと、回収されずに残ります。
保管場所に求められること
ごみの保管場所は、周りに影響を出さないことが求められます。
押さえるのは4つです。
1つ目は、囲いがあることです。風で飛ばない、外から見えにくい。
2つ目は、床と排水です。汚水が流れ出さないよう、床を防水にして排水を取ります。
3つ目は、屋根です。雨が入ると、水が汚れて流れ出します。
4つ目は、表示です。保管の場所であることと、扱う種類を示します。産業廃棄物の保管では、掲示板の表示が定められています。
大規模な建築物では、廃棄物の保管場所を設けることが条例で定められていることがあります。新築や用途変更のときに関わるので、所在地の市区町村に確かめてください。
分け方を決める
分別は、細かくするほど良いとは限りません。続けられる数にします。
決めるのは4つです。
1つ目は、市区町村の区分に合わせることです。回収の区分と違う分け方をしても、結局まとめ直すことになります。
2つ目は、量の多いものから分けることです。紙、段ボール、びん・かん・ペットボトル、生ごみ。量が多いものを分けると、費用が下がります。
3つ目は、置き場の広さで決めることです。容器を置けない数の区分は作れません。
4つ目は、誰が分けるかです。テナントが分けるのか、清掃で分け直すのか。
2つ目が費用に直結します。段ボールと紙は資源として引き取られることがあり、混ぜて捨てるより安く済みます。分ければ費用が下がるという説明は、テナントにも伝わります。
におい対策
においは、出てから消すより、出さないほうが簡単です。
やることは4つです。
1つ目は、生ごみを分けることです。においの元はほとんどが生ごみです。
2つ目は、水気を切ることです。水分が多いと、においも重さも増えます。重さで費用が決まる契約では、費用にも効きます。
3つ目は、蓋のある容器に入れることです。袋のまま置かない。
4つ目は、回収の頻度を上げることです。夏場だけ増やすという契約ができることがあります。
4つ目は契約の見直しになりますが、いちばん効きます。夏の3か月だけ週の回数を増やす形にできないか、業者に相談してください。清掃を増やすより安く済むことがあります。
害虫と鳥への対策
ごみ置き場は、ねずみ、ゴキブリ、ハエ、カラスが集まる場所です。
対策は4つです。
1つ目は、隙間をふさぐことです。ねずみは小さな隙間から入ります。扉の下、配管の周り、壁のひび。
2つ目は、餌を残さないことです。こぼれたもの、袋の破れ。床を洗う頻度が効きます。
3つ目は、蓋と容器です。カラスは袋を破ります。容器に入れて蓋をすれば防げます。
4つ目は、防除の記録です。ビル管法の対象になる建物では、ねずみ等の防除について定めがあります。
1つ目と2つ目で、薬剤を使う前にできることがあります。薬剤は、入ってきたものを減らす手段です。入れない、寄せないほうが先です。
テナントとの取り決め
ごみ置き場の問題の多くは、テナントの出し方で起きます。取り決めを書面にします。
決めるのは5つです。
1つ目は、出せる時間です。回収の前に出す。前日の夜から置きっぱなしにしないようにします。
2つ目は、分別の区分です。何をどの容器に入れるか。写真付きの掲示が効きます。
3つ目は、量の上限です。大量に出る日は、事前に連絡してもらいます。
4つ目は、産業廃棄物の扱いです。テナントが自分で契約して処理するのか、建物でまとめるのか。
5つ目は、守られないときの連絡の仕方です。
2つ目は、文字ではなく写真にしてください。「可燃ごみ」と書くより、実物の写真を貼るほうが守られます。外国語を話す従業員がいる建物では、とくに効きます。
産業廃棄物を委託するときの流れ
産業廃棄物を業者に委託する場合、決められた手順があります。
流れは4段です。
1つ目は、許可を確かめることです。収集運搬と処分で、それぞれ許可が要ります。許可証の写しをもらいます。
2つ目は、契約書を交わすことです。書面での契約が求められています。
3つ目は、管理票を交付することです。マニフェストと呼ばれる伝票で、処理の流れを追います。
4つ目は、控えを保存することです。返ってきた伝票を確かめて保存します。
3つ目と4つ目を「業者に任せている」建物があります。交付するのは排出する側で、確かめて保存する義務も排出した側にあります。返ってきていない伝票が無いかを、定期的に確かめてください。
量を減らすところから考える
ごみの費用は、量で決まります。減らせば下がります。
減らし方は4つです。
1つ目は、水気を切ることです。重さで契約している場合、これだけで下がります。
2つ目は、資源になるものを分けることです。段ボール、紙、びん、かん。
3つ目は、容積を減らすことです。段ボールをたたむ、ペットボトルを潰す。
4つ目は、入ってくる量を減らすことです。梱包材の少ない納品、繰り返し使える容器。
4つ目は時間がかかりますが、いちばん効きます。納品のときの梱包を見直せるか、テナントと一緒に考えてみてください。出たごみをどうするかより、入ってくる量のほうが上流にあります。
記録として残しておく
ごみの管理は、費用と苦情の両方に関わります。記録を残すと判断ができます。
残すのは4つです。
1つ目は、月ごとの量と費用です。季節の変動が見えます。
2つ目は、回収の記録です。曜日と時間。
3つ目は、苦情と対応です。いつ、何について。
4つ目は、産業廃棄物の管理票の控えと契約書です。
1つ目を1年分並べると、夏に増えることが分かります。そこで夏だけ回収を増やす、という判断ができます。記録が無いと、毎年同じ苦情に同じ対応を繰り返すことになります。
置き場の広さを決める
ごみ置き場は、あとから広げられません。新築や改装のときに決まります。
考えるのは4つです。
1つ目は、1日に出る量です。テナントの業種と数で変わります。飲食店が入ると、生ごみの量が一気に増えます。
2つ目は、回収の間隔です。週2回なら3日分、毎日なら1日分を置ければ足ります。間隔が長いほど広さが要ります。
3つ目は、分別の区分の数です。区分が増えると、容器の数が増えます。
4つ目は、作業の動線です。容器を出し入れする通路、台車が回れる幅。人が入れない置き場は使われません。
2つ目と3つ目は、あとから調整できます。回収を増やす、区分を減らす。1つ目と4つ目は変えられません。だから、テナントが入れ替わって業種が変わったときに、置き場が足りなくなります。
回収の業者を見直す
ごみの費用は、契約の中身で大きく変わります。何年も同じ条件のままの建物があります。
見るのは5つです。
1つ目は、料金の決まり方です。重さか、容積か、回数か。
2つ目は、回収の曜日と時間です。建物の使い方に合っているか。早朝の回収が、近隣の苦情になっていないか。
3つ目は、資源の扱いです。段ボールや紙を分ければ安くなる契約か。
4つ目は、臨時の回収の単価です。
5つ目は、契約の期間と更新です。
3つ目を確かめてください。分別しているのに料金が変わらない契約では、分ける手間が報われません。テナントに協力を求める根拠も弱くなります。分ければ下がる契約に替えられないか、業者に相談してください。
掲示の作り方
ごみ置き場の掲示は、読まれないと意味がありません。読まれる形にします。
作り方は4つです。
1つ目は、写真を使うことです。実物の写真を、容器の上に貼ります。文字だけの掲示は読まれません。
2つ目は、数を絞ることです。掲示が多いと、どれも読まれません。1枚に1つの内容にします。
3つ目は、貼る高さです。目の高さに貼ります。低すぎると、容器で隠れます。
4つ目は、汚れと劣化への対応です。ごみ置き場の掲示はすぐ汚れます。透明のカバーに入れ、年に1回貼り替えます。
4つ目を決めておかないと、読めない紙が貼られたまま何年も残ります。掲示を貼り替える月を決めて、年間の清掃の計画に書いておいてください。掃除のついでに貼り替える形にすると続きます。
まとめ
事業系ごみの保管場所は、分け方と置き方で、費用も苦情も変わります。
- 事業活動から出るごみは、家庭ごみの集積所に出せない
- 産業廃棄物と事業系一般廃棄物で、委託先も手続きも違う
- 保管場所には、囲い・床と排水・屋根・表示が要る
- においは生ごみを分けて水気を切る。夏だけ回収を増やす契約が効く
- テナントへの分別の掲示は、文字ではなく写真にする
分別の区分と処理の方法は市区町村によって違います。自分の建物に何が適用されるかは、所在地の市区町村の廃棄物担当課に確認してください。
よくある質問
Q. 事務所から出る紙くずは、産業廃棄物ですか。 A. 業種によって扱いが変わります。同じ紙くずでも、事業系一般廃棄物として扱われる場合と、産業廃棄物として扱われる場合があります。所在地の市区町村の廃棄物担当課に確かめてください。
Q. 事業系のごみを、家庭ごみの集積所に出せますか。 A. 出せません。事業活動から出たごみは、自分で処理するか、許可を受けた業者に委託します。出してしまうと回収されずに残ります。
Q. マニフェストは誰が交付しますか。 A. 排出する側が交付します。業者に任せきりにしないでください。返ってきた伝票を確かめて保存する義務も、排出した側にあります。
Q. ごみ置き場のにおいが取れません。 A. 生ごみを分け、水気を切り、蓋のある容器に入れてください。それでも残る場合は、回収の頻度を上げられないか業者に相談してください。夏だけ増やす契約ができることがあります。
Q. カラスが袋を破ります。 A. 容器に入れて蓋をすれば防げます。ネットだけでは隙間から引き出されます。出せる時間を回収の直前に限ることも効きます。
Q. ねずみが出ます。 A. 隙間をふさぎ、こぼれたものを残さないことが先です。薬剤はそのあとです。ビル管法の対象になる建物では、ねずみ等の防除について定めがあります。所在地の保健所に確かめてください。
Q. テナントが分別してくれません。 A. 掲示を写真にしてください。文字だけの掲示は読まれません。分ければ費用が下がるという説明を添えると、協力を得やすくなります。
Q. 保管場所が狭く、あふれます。 A. 回収の頻度を上げるか、容積を減らすかです。段ボールをたたむ、ペットボトルを潰す。入ってくる量を減らすことも、時間はかかりますが効きます。
Q. 産業廃棄物の契約書は何年保存しますか。 A. 契約書と管理票の控えには、それぞれ保存の年数が定められています。所在地の都道府県か市区町村の産業廃棄物担当課に確かめてください。
Q. テナントが自分で産業廃棄物を契約しています。建物は関係ありませんか。 A. 処理の責任はテナントにありますが、保管場所は建物の管理下です。置き方と時間の取り決めは必要です。契約書の写しをもらっておく建物もあります。
Q. 一度に大量のごみが出ます。 A. 事前に業者へ連絡し、臨時の回収を頼んでください。テナントの退去や改装のときに起きます。館内規則に、事前連絡を書いておくと防げます。
Q. 保管場所に掲示板は必要ですか。 A. 産業廃棄物の保管については、掲示板の表示が定められています。大きさや記載事項に決まりがあります。所在地の都道府県か市区町村の産業廃棄物担当課に確かめてください。
Q. ごみの費用が年々増えています。 A. 量と単価のどちらが増えているかを分けて見てください。月ごとの量を1年分並べると分かります。量が増えているなら分別と減量、単価なら契約の見直しです。
Q. 回収の時間が早すぎて、近隣から苦情が来ます。 A. 業者に時間を変えられないか相談してください。変えられない場合は、容器の置き方と、作業の音を減らす工夫で対応することになります。苦情の内容と日時を記録に残してください。
Q. 掲示を外国語でも作るべきですか。 A. 建物の状況によります。写真を使えば、多くは言葉に頼らずに伝わります。それでも伝わらない場合に、必要な言語を足してください。
Q. ごみ置き場の鍵は、誰に渡しますか。 A. テナントの人数分ではなく、店舗ごとに1本という形が管理しやすくなります。誰に何本渡したかの記録を残してください。渡した本数が分からなくなると、鍵を替えるしかなくなります。