建物の衛生管理書き方2026.08.26 公開ES-12

清掃作業計画の作り方|日常と定期を分ける

目次

清掃は毎日入っているのに、床のワックスがいつかけられたのか誰も知らない。日常清掃と定期清掃が分けて管理されていない建物では、この状態が起きます。ビル管法の対象になる建物では、清掃について計画を立てて実施することが求められています。

この記事では、清掃作業計画を、日常と定期の分け方計画に書く項目周期の決め方点検と記録業者との契約の順に整理します。求められる内容は建物の用途と規模で変わります。自分の建物に何が適用されるかは、所在地の保健所に確認してください。

清掃の点検表そのものを探している場合は、点検板に施設向けの様式がそろっています。

結論:毎日やることと、周期でやることを分けて書く

清掃作業計画は、やることを2つに分けて書きます。

1つ目は、日常清掃です。毎日、または毎週行うもの。ごみの回収、トイレの清掃、床の掃き拭き、ガラスの拭き上げ。

2つ目は、定期清掃です。月、半年、年といった周期で行うもの。床の洗浄とワックス、ガラスの全面清掃、カーペットの洗浄、照明器具の清掃。

2つに分けて書く日常清掃毎日か毎週ごみ・トイレ・床・ガラス目に見えるので続く定期清掃月・半年・年の周期床洗浄・カーペット・照明器具書かないと消える
日常清掃と定期清掃で、頻度と内容が違うことを並べた比較の図

分けないと、定期清掃が消えます。毎日の清掃は目に見えるので続きますが、年に1回のことは誰も覚えていません。計画に書いて、日付を決めておかないと、気づいたら3年やっていない状態になります。

計画に書く項目

計画は、誰が読んでも同じ動きができる形にします。

書くのは5つです。

1つ目は、場所です。階、部屋、共用部。図面と対応させると分かりやすくなります。

2つ目は、作業の内容です。掃く、拭く、洗う、磨く。具体的に書きます。

3つ目は、周期です。毎日、週1回、月1回、年2回。

4つ目は、担当です。清掃業者か、自社の担当か、テナントか。

5つ目は、使う資機材と薬剤です。床材によって使える薬剤が違います。

主な記載事項項目書き方場所階と部屋。図面と対応させる作業の内容掃く・拭く・洗う・磨く周期毎日・週1・月1・年2担当と資機材誰がやるか。使う薬剤
場所・内容・周期・担当・資機材という主な記載事項を並べた表

4つ目が抜けている計画が多くあります。「やること」は書いてあっても、誰がやるかが書かれていないと、共用部とテナント区画の境目が空白になります。

周期の決め方

周期は、汚れ方で決めます。同じ建物でも場所によって違います。

見るのは4つです。

1つ目は、人の通る量です。エントランス、エレベーターホール、トイレ。通る人が多い場所ほど短い周期にします。

2つ目は、外からの汚れの入り方です。雨の日の玄関、駐車場に近い入口。

3つ目は、床材です。カーペット、塩ビ、石材。手入れの方法と周期が違います。

4つ目は、見られる場所かどうかです。来客の目に触れる場所は、汚れる前に手を入れます。

周期の4つの決め方見るところ考え方人の通る量多いほど短い周期に外からの汚れ雨の日の玄関・駐車場の近く床材カーペット・塩ビ・石材で違う見られる場所か来客の目に触れるか
通行量・外からの汚れ・床材・見られる場所という4つの周期の決め方を並べた表

全部を同じ周期にしないでください。「年2回の床洗浄」と一律に決めると、エントランスは足りず、使っていない会議室は多すぎます。場所ごとに変えると、同じ費用でも結果が良くなります。

トイレの清掃を別立てにする

トイレは、建物の印象をいちばん左右する場所です。計画の中で別立てにします。

決めるのは4つです。

1つ目は、1日の回数です。朝1回だけか、昼にも入るか。利用者が多い建物では、1日2回以上にしている例があります。

2つ目は、点検の時間です。清掃とは別に、見回って補充だけする時間を作ります。

3つ目は、補充品の管理です。トイレットペーパー、石けん、ペーパータオル。切らさない担当を決めます。

4つ目は、におい対策です。排水口のトラップの封水、換気扇の作動。

トイレの4つの決めごと11日の回数利用が多ければ2回以2点検の時間見回って補充するだけの時間3補充品切らさない担当を決め4におい封水と換気
回数・点検の時間・補充・においという4つの決めごとを並べたフロー
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実際に使える様式が必要な方へ

清掃の点検表と記録をまとめて管理する様式は、点検板でそのまま使えます。

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2つ目が効きます。清掃を増やすより、見回って紙を補充するだけの時間を1回足すほうが、苦情は減ります。時間も費用もかかりません。

点検と記録

計画どおりに行われているかを、建物の側で確かめます。業者の報告だけに任せません。

やることは4つです。

1つ目は、日常清掃の記録です。日付と担当者。トイレの中に点検表を貼る形がよく使われています。

2つ目は、定期清掃の実施の記録です。いつ、どこを、何をしたか。作業前後の写真があると確実です。

3つ目は、建物の側の巡回です。週に1回、決めた場所を見ます。

4つ目は、苦情の記録です。どこについて、いつ、何を言われたか。

点検の4つの材料日常の記録日付と担当者定期の記録作業前後の写真巡回週1回、決めた場所を苦情場所と日時
日常の記録・定期の記録・巡回・苦情という4つの点検の材料を並べた層の図

4つ目を集めると、計画の弱いところが見えます。同じ場所の苦情が続くなら、周期か方法が合っていません。苦情を集めるだけで、次の計画の材料になります。

業者との契約で見るところ

清掃の契約は、何をどのくらいやるかが曖昧になりがちです。

見るのは5つです。

1つ目は、日常清掃の時間と人数です。1日何時間、何人。

2つ目は、定期清掃の内容と回数です。年に何回、どこを。

3つ目は、資機材と消耗品の負担です。洗剤、ペーパー類をどちらが用意するか。

4つ目は、対象の範囲です。共用部だけか、テナント区画も含むか。屋上、駐車場、外周が抜けやすい場所です。

5つ目は、追加で頼む場合の単価です。臨時の清掃を頼むときの金額。

契約の主な確認点確かめること中身時間と人数1日何時間、何人定期の内容と回数年に何回、どこを消耗品の負担洗剤とペーパー類対象の範囲屋上・駐車場・外周が抜ける
時間と人数・定期の内容・消耗品・範囲・追加単価という主な契約の確認点を並べた表

4つ目がいちばん揉めます。「外周の落ち葉は誰が掃くのか」が決まっていない建物があります。図面に色を塗って範囲を示すと、あとで揉めません。

資機材と薬剤の置き場

清掃の道具と薬剤は、置き場を決めておきます。

決めるのは4つです。

1つ目は、場所です。鍵のかかる倉庫。水が使えると便利です。

2つ目は、薬剤の管理です。混ぜてはいけないものがあります。表示のある容器に入れたまま保管します。

3つ目は、換気です。閉め切った倉庫に薬剤を置くと、においがこもります。

4つ目は、在庫の確認です。月に1回、数を確かめます。

薬剤を詰め替えて表示の無い容器に入れないでください。何が入っているか分からない容器は、事故のもとになります。安全データシートを一緒に置いておくと、万一のときに使えます。

年間の計画を1枚にする

日常と定期を分けたら、定期のほうを1枚のカレンダーにします。

作るのは4つです。

1つ目は、縦に作業、横に月を並べることです。年2回のものは、2つの月に印が付きます。

2つ目は、実施した日を書き込む欄を作ることです。予定と実績が1枚で見えます。

3つ目は、担当を書くことです。業者か自社か。

4つ目は、費用の欄を作ることです。年間の合計が見えます。

1枚にすると、抜けが見えます。「今年はまだやっていない作業」が、色の付いていないマスとして残ります。年度の途中で確かめるときに、この1枚があれば足ります。

特定建築物での位置づけ

ビル管法の対象になる建物では、清掃について定めがあります。

押さえるのは3つです。

1つ目は、日常清掃を行うことです。

2つ目は、大掃除を定期に行うことです。6か月以内ごとに1回、統一的に行うこととされています。

3つ目は、記録を残すことです。実施した内容と日付。

「大掃除」は、年末の掃除のことではありません。定期的に、建物を統一的に清掃することを指します。日常清掃と別に、計画して記録するものです。詳しい扱いは所在地の保健所に確かめてください。

建物の側の巡回で見る3つ

清掃の品質は、業者の報告だけでは分かりません。建物の側が、週に1回だけ見ます。全部を見る必要はありません。

見るのは3つです。

1つ目は、いちばん人が通る場所です。エントランスとエレベーターホール。来館者が最初に見る場所なので、ここが整っていれば印象は保てます。

2つ目は、いちばん汚れやすい場所です。トイレ、喫煙のできる場所、ごみ置き場。苦情がいちばん出る場所でもあります。

3つ目は、いちばん忘れられる場所です。非常階段、屋上、機械室の前、駐車場の隅。誰も見ないから、たまっていきます。

3つ目を月に1回でも見ると、大きな差が出ます。清掃の契約に入っていないことが多い場所なので、入っているかどうかを確かめるところから始まります。入っていなければ、追加するか自社でやるかを決めます。

見た結果は写真で残します。同じ場所を毎回同じ角度から撮ると、良くなっているか悪くなっているかが分かります。文章の報告より、写真2枚の比較のほうが伝わります。

清掃の人が働きやすい形にする

清掃の品質は、働く人の環境で決まる部分があります。ここを整えると、続く人が増えます。

整えるのは4つです。

1つ目は、水が使える場所です。モップを洗う流し、バケツを置く場所。遠いと、洗う回数が減ります。

2つ目は、道具の置き場です。鍵のかかる場所に、まとめて置けること。

3つ目は、休憩する場所です。座れる場所があるかどうか。

4つ目は、連絡の手段です。困ったときに誰に言えばよいか。建物の担当者の連絡先を渡しておきます。

4つ目が効きます。清掃の人は、建物の中でいちばん多くの場所を毎日見ています。電球が切れている、水が漏れている、扉が閉まらない。気づいたことを言える相手がいれば、その情報が建物の側に届きます。言える相手がいないと、情報はそこで消えます。

特別清掃をどこに入れるか

日常と定期のほかに、その時期にしか要らない清掃があります。年間の計画に先に入れておきます。

入れるのは4つです。

1つ目は、季節のものです。落ち葉、雪、花粉、梅雨のカビ。地域によって時期が決まっています。

2つ目は、行事に合わせたものです。年度末の異動、大きな催し物の前後、来客の多い時期。

3つ目は、工事の前後です。改装や設備の更新でほこりが出ます。工事の見積もりに清掃を含めてもらうと、あとで揉めません。

4つ目は、テナントの入退去です。原状回復の範囲と、共用部の清掃をどちらが持つか。

1つ目と2つ目は、前の年のカレンダーを見れば分かります。「去年の11月に落ち葉の苦情が来た」なら、今年は10月末に入れておきます。苦情が来てから頼むと、業者の予約が取れません。

まとめ

清掃作業計画は、日常清掃と定期清掃を分けて書くものです。

  • 分けないと定期清掃が消える。年に1回のことは誰も覚えていない
  • 書くのは、場所・内容・周期・担当・資機材の5つ。担当が抜けやすい
  • 周期は場所ごとに変える。一律にすると、足りない場所と多すぎる場所が出る
  • トイレは別立てにする。清掃を増やすより、見回りを1回足すほうが効く
  • 契約では、対象の範囲を図面に色で示す。屋上・駐車場・外周が抜けやすい

求められる内容は建物の用途と規模で変わります。自分の建物に何が適用されるかは、所在地の保健所に確認してください。

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清掃の点検表と記録をまとめて管理するなら、点検板の様式が近道です。

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よくある質問

Q. 清掃作業計画は、業者に作ってもらってよいですか。 A. 原案を業者に作ってもらうのは構いません。ただし範囲と担当は建物の側で決めてください。業者が作ると、自社の作業の範囲だけが書かれた計画になります。

Q. 定期清掃の周期は、どう決めますか。 A. 場所ごとに、通行量と床材と見られるかどうかで決めます。一律に決めないことです。まず1年やってみて、汚れ方を見てから翌年に調整する形でも構いません。

Q. テナント区画は計画に入れますか。 A. 誰がやるかを書いておいてください。テナントが自分で行う場合も、計画の表に「テナント」と書くだけで、空白が消えます。共用部との境目がはっきりします。

Q. 大掃除とは何ですか。 A. 年末の掃除のことではありません。建物を統一的に清掃することを指し、6か月以内ごとに1回行うこととされています。日常清掃とは別に計画して記録します。詳しくは所在地の保健所に確かめてください。

Q. 清掃の記録はどこに残しますか。 A. 日常清掃はトイレなどに貼る点検表、定期清掃は実施の報告書です。1つのファイルにまとめて、年ごとに綴じてください。あとから実施の有無を確かめられます。

Q. トイレの苦情が減りません。 A. 清掃の回数を増やす前に、見回って補充するだけの時間を作ってみてください。紙が切れている、においがこもっているという苦情は、これで多くが消えます。

Q. 外周の落ち葉は誰が掃きますか。 A. 契約で決まっていなければ、どちらもやりません。図面に色を塗って範囲を示し、契約に添付してください。屋上、駐車場、外周が抜けやすい場所です。

Q. 薬剤の管理で気をつけることはありますか。 A. 詰め替えて表示の無い容器に入れないでください。混ぜてはいけないものがあります。安全データシートを置き場に一緒に置いてください。

Q. 清掃の品質をどう確かめますか。 A. 週に1回、建物の側で決めた場所を見てください。毎回同じ場所を見ることが大事です。写真を撮って並べると、良くなっているか悪くなっているかが分かります。

Q. 費用を下げたいのですが。 A. 回数を一律に減らすより、場所ごとの周期を見直してください。使っていない会議室の周期を延ばし、エントランスはそのままにする、という調整で結果が変わります。

Q. 建築物清掃業の登録がある業者に頼むべきですか。 A. 登録は一定の基準を満たしていることの目安になります。義務ではありませんが、特定建築物では登録業者に頼んでいる建物が多くあります。所在地の保健所で登録の状況を確かめられることがあります。

Q. 計画は毎年作り直しますか。 A. ゼロから作り直す必要はありません。前年の計画に、実績と苦情を踏まえた調整を加える形で足ります。年度の初めに1時間で見直せる形にしておいてください。

Q. 清掃の人からの気づきを、どう集めますか。 A. 連絡先を渡して、気づいたら言ってよいと伝えることから始まります。紙のノートを1冊置いて、書いてもらう形にしている建物もあります。設備の不具合の発見が早くなります。

Q. 巡回の写真は、どのくらい残しますか。 A. 1年分あれば足ります。同じ場所を同じ角度で撮り続けることが大事で、枚数は多くなくて構いません。契約を見直すときの材料になります。

Q. 工事のあとの清掃は、誰が持ちますか。 A. 工事の見積もりに含めてもらうのが確実です。含めていないと、工事業者は片づけて帰るだけになります。共用部まで清掃するかを、契約の前に決めてください。