建物の衛生管理実務2026.08.03 公開ES-11

照度測定とは?測る場所と回数、基準の考え方

目次

空気環境測定はやっているのに、照度は測っていない。ビル管法の対象になる建物では、照度も測って記録することが求められています。LEDに替えた建物では、以前より明るいはずなのに、位置によっては基準を下回っていることがあります。

この記事では、照度測定を、求められる場面測る場所と回数測り方基準を下回ったときの直し方記録の残し方の順に整理します。適用される規定は建物の用途と規模で変わります。自分の建物に何が適用されるかは、所在地の保健所に確認してください。

測定や点検の記録そのものを探している場合は、点検板に施設向けの様式がそろっています。

結論:明るさは数字で残す。見た目では判断できない

照度とは、面がどのくらい明るく照らされているかを表す量で、単位はルクスです。人の目は明るさに慣れるため、見た目では足りているかどうか分かりません。

測る理由は3つあります。

1つ目は、ビル管法の対象になる建物で求められているからです。建築物環境衛生管理基準の1つとして、照度の管理が定められています。

2つ目は、労働安全衛生の側でも基準があるからです。作業の種類によって、必要な明るさが定められています。

3つ目は、非常用照明が別にあるからです。停電のときに点く照明は、建築基準法の側の話で、定期検査の対象になります。

3つの制度が並んでいるビル管法特定建築物の照度の管理労働安全衛生働く場所の明るさ非常用照明建築基準法の側
ビル管法・労働安全衛生・非常用照明という3つの制度の並びを示した層の図

3つは別の制度です。混同すると、片方をやって満足してしまいます。自分の建物でどれが対象になるかを、先に整理してください。

どの建物が対象か

ビル管法の対象になるのは、特定建築物です。用途と延べ面積で決まります。

押さえるのは3つです。

1つ目は、用途です。事務所、店舗、学校、興行場、旅館など。

2つ目は、延べ面積です。一定の面積以上が対象になります。

3つ目は、除外される用途です。病院や工場などは、別の制度で管理されるため扱いが違います。

対象の3つの軸見るところ用途事務所・店舗・学校など延べ面積一定の面積以上除外される用途病院や工場は扱いが違う
用途・延べ面積・除外される用途という3つの判断の軸を並べた表

対象かどうかは自分で判断しないほうが確実です。用途が混ざっている建物では、判断が分かれます。所在地の保健所に、建物の用途と延べ面積を伝えて確かめてください。

対象でない建物でも、労働安全衛生の側の基準は働く場所に適用されます。事務所であれば、作業の内容に応じた明るさが求められます。

測る場所と回数

照度は、建物のどこでも同じではありません。測る場所の決め方が結果を左右します。

決めるのは4つです。

1つ目は、机の上の高さで測ることです。床ではありません。作業をする面の高さで測ります。

2つ目は、代表的な場所を選ぶことです。部屋の中央、窓際、いちばん暗い隅。いちばん暗い場所を必ず入れます。

3つ目は、毎回同じ場所にすることです。場所が変われば値も変わります。比べられなくなります。

4つ目は、回数です。ビル管法では、6か月以内ごとに1回とされています。

測定の4つの決めごと決めること中身高さ作業をする面の高さで測る場所の選び方いちばん暗い場所を入れる同じ場所図面に番号を振って残す回数6か月以内ごとに1回
高さ・場所の選び方・同じ場所・回数という4つの測定の決めごとを並べた表

測る場所を図面に印を付けて残します。番号を振っておくと、記録の表と突き合わせられます。「去年はどこで測ったか」が分からなくなるのが、いちばんよくある形です。

測り方

測定には照度計を使います。測るときの条件をそろえます。

そろえるのは4つです。

1つ目は、時間帯です。窓のある部屋は、昼と夕方で値が変わります。毎回同じ時間帯にします。

2つ目は、自然光の扱いです。ブラインドを閉めるか開けるか。決めて、記録に書きます。

3つ目は、影を作らないことです。測る人の体が影を作ると、値が下がります。

4つ目は、照明を点けてから時間を置くことです。点けた直後は明るさが安定しないことがあります。

測定の条件をそろえる1時間帯窓のある部屋は毎回同じに2自然光ブラインドの開閉を記録に3測る人の体で作らない4安定点けてから時間を置く
時間帯・自然光・影・安定までの時間という4つの測定の条件を並べたフロー
点検表テンプレート
様式をさがす

実際に使える様式が必要な方へ

測定と点検の記録をまとめて管理する様式は、点検板でそのまま使えます。

この様式をひらく

照度計は、定期的に校正が必要です。長く使っていると値がずれます。校正の記録も一緒に残してください。業者に測定を頼む場合は、校正済みの機器かを確かめます。

基準を下回ったときの直し方

値が足りない場合、照明を増やす前にやることがあります。

順番は4つです。

1つ目は、清掃です。照明器具のカバーと、ランプの表面。ほこりで2割ほど落ちることがあります。拭くだけで戻ることがよくあります。

2つ目は、交換です。ランプは時間とともに暗くなります。切れていなくても、暗くなっています。

3つ目は、配置の見直しです。机の位置を変えた、棚を増やした。照明の下から作業の場所がずれていることがあります。

4つ目は、器具を増やすか替えることです。ここでようやく工事になります。

下回ったときの4段1清掃ほこりで2割落ちることがある2交換切れていなくても暗くなる3配置机の位置が動いていないか4器具ここでようやく工事
清掃・交換・配置・器具という4段の直し方のフロー

1つ目と2つ目で戻ることが多くあります。「暗いから器具を増やす」と決める前に、まず拭いて、測り直してください。費用がかからずに解決することがあります。

LEDに替えたときの注意

蛍光灯からLEDに替える建物が増えています。明るくなるとは限りません。

注意するのは4つです。

1つ目は、光の広がり方です。LEDは光が直進しやすく、真下は明るく、離れると暗くなることがあります。

2つ目は、器具ごと替えるか、ランプだけ替えるかです。ランプだけ替えると、器具の反射板が合わないことがあります。

3つ目は、替えたあとに測ることです。替える前と後で測り、数字で比べてください。

4つ目は、まぶしさです。明るさは足りていても、直接光が目に入ると不快になります。

LEDに替えるときの4つ注意点中身光の広がり真下は明るく離れると暗い器具かランプか反射板が合わないことがある替えた後の測定前と後で数字を比べるまぶしさ明るさが足りても不快になる
光の広がり・器具かランプか・替えた後の測定・まぶしさという4つの注意点を並べた表

3つ目を必ずやってください。替えた直後は誰も測らず、半年後の測定で下回っていることに気づく形が起きます。替える工事の見積もりに、前後の測定を含めてもらうと確実です。

非常用照明は別の制度

照度測定とよく混同されるのが、非常用照明です。これは建築基準法の側の設備で、目的も点検の方法も違います。

違うのは3つです。

1つ目は、目的です。停電したときに、避難できる明るさを確保するためのものです。

2つ目は、確かめ方です。電源を切って点灯するか、定められた時間点き続けるかを確かめます。

3つ目は、報告先です。建築設備定期検査の一部として、所在地の特定行政庁へ報告します。

普段の照度が足りていても、非常用照明が点かないことがあります。バッテリーは数年で劣化します。両方を別々に管理してください。

労働安全衛生の側の基準

働く場所の明るさについては、事務所衛生基準規則などで基準が定められています。

押さえるのは3つです。

1つ目は、作業の区分です。一般的な事務作業と、付随的な事務作業で必要な明るさが違います。

2つ目は、点検の頻度です。照明設備について、定期的に点検することが求められています。

3つ目は、まぶしさへの配慮です。明るければよいというものではありません。

この基準は、ビル管法の対象でない建物にも適用されます。小さな事務所でも、働く人がいれば対象です。扱いに迷うものは、所轄の労働基準監督署に確かめてください。

記録の残し方

照度の記録は、表にして並べると価値が出ます。1回ずつ紙で残すだけでは、変化が見えません。

作るのは4つです。

1つ目は、測定点の番号と場所の一覧です。図面と対応させます。

2つ目は、測定の日と時間帯です。

3つ目は、各点の値です。回ごとに列を足していく形にします。

4つ目は、条件の欄です。ブラインドの開閉、天候、直前に清掃したか。

3つ目を横に並べると、下がっている点が見えます。同じ点が回を追うごとに下がっていれば、ランプの寿命か汚れです。下がり始めた時点で手を打てば、基準を割る前に戻せます。

業者に頼むか自分で測るか

照度の測定は、自分たちでも行えます。空気環境測定と一緒に業者へ頼んでいる建物が多いのですが、分けることもできます。

比べるのは4つです。

1つ目は、費用です。照度計は購入できる価格です。毎回の外注費と比べます。

2つ目は、手間です。測定点が多い建物では、半日かかることがあります。

3つ目は、機器の校正です。自分で持つ場合、校正の管理が必要になります。

4つ目は、まとめて頼めるかです。空気環境測定と同じ日にできるなら、外注のほうが楽なことがあります。

建物が1つなら外注、複数あるなら自前という分かれ方が多くあります。ただし記録の付け方は、どちらでも同じです。測定点の図面だけは、自分たちで持ってください。

測定を空気環境測定と同じ日にする

ビル管法の対象になる建物では、空気環境測定を2か月以内ごとに行います。照度は6か月以内ごとなので、同じ日にまとめられます。

まとめる利点は4つです。

1つ目は、立ち入りが1回で済むことです。テナントの部屋に入る連絡が1回になります。

2つ目は、測定点をそろえられることです。空気を測る場所と照度を測る場所を同じにすると、図面が1枚で済みます。

3つ目は、記録が並ぶことです。同じ日の空気と明るさが1つの表に並びます。

4つ目は、費用が下がることです。出張の回数が減るぶん、まとめたほうが安くなることがあります。

業者に「照度も同じ日にできますか」と聞くだけです。断られることはほとんどありません。年に2回の照度測定のうち、少なくとも1回は空気環境測定と重ねる形にすると、手間が半分になります。

苦情から始めることもある

測定の結果が基準の中でも、「暗い」という声が出ることがあります。数字と体感が違う場面です。

見るのは4つです。

1つ目は、その人の作業の内容です。細かい字を読む作業では、基準を満たしていても足りないことがあります。

2つ目は、席の位置です。測定点から離れた場所は、測っていません。その席で測り直してください。

3つ目は、光の色です。色温度が低いと、同じ明るさでも暗く感じることがあります。

4つ目は、まぶしさとの兼ね合いです。画面に光が映り込んでいると、暗くしたくなります。

「基準は満たしています」で終わらせないでください。測定は建物の管理のためのもので、そこで働く人が困っていれば別の問題です。席の上で測り直し、必要なら手元の照明を足すという解決の仕方があります。

器具の更新を計画に入れる

照明は、壊れてから替えると計画が立ちません。測定の記録を使って、更新の時期を決めます。

決めるのは4つです。

1つ目は、器具の設置年です。竣工からそのままか、途中で替えたか。器具そのものにも寿命があります。

2つ目は、測定値の推移です。同じ点が回を追うごとに下がっているなら、器具の劣化が進んでいます。

3つ目は、フロアごとの優先順位です。人が多い場所、作業が細かい場所から替えます。

4つ目は、まとめて替えるか、少しずつかです。まとめると単価が下がり、少しずつだと予算が平準化します。

照明の更新は、節電の効果と一緒に説明すると通りやすくなります。明るさが足りないという理由だけでは予算が付きにくく、電気代がいくら下がるかを添えると判断されやすくなります。測定の記録は、その説明の土台になります。

まとめ

照度測定は、建物の明るさを数字で確かめて記録するものです。

  • ビル管法の特定建築物では、6か月以内ごとに1回とされている
  • 測るのは机の上の高さ。いちばん暗い場所を必ず入れ、毎回同じ場所で測る
  • 下回ったら、清掃、ランプの交換、配置の見直し、器具の順に見る
  • LEDに替えたら、替える前と後で測って数字で比べる
  • 非常用照明は別の制度。建築設備定期検査として特定行政庁へ報告する

適用される規定は建物の用途と規模で変わります。自分の建物に何が適用されるかは、所在地の保健所に確認してください。

点検表テンプレート
様式をさがす

実際に使える様式が必要な方へ

測定と点検の記録をまとめて管理するなら、点検板の様式が近道です。

この様式をひらく

よくある質問

Q. 照度計はどこで買えますか。 A. 測定器を扱う会社から購入できます。校正のできる製品を選んでください。安価なものは値のずれが大きいことがあります。測定を業者に頼んでいる場合は、その業者に相談すると型番を教えてもらえます。

Q. 測る高さは決まっていますか。 A. 作業をする面の高さで測ります。事務室なら机の上、廊下なら床面という考え方が使われています。毎回同じ高さにすることが大事です。記録に高さを書いておいてください。

Q. 窓のある部屋は、どう測りますか。 A. 自然光の影響を受けるので、ブラインドの開閉を決めて記録に書きます。時間帯も毎回そろえてください。条件が変わると、前回と比べられません。

Q. 基準を下回っていました。すぐ工事が必要ですか。 A. まず照明器具とランプを拭いて、測り直してください。ほこりで2割ほど落ちることがあります。次にランプの交換、配置の見直し。工事はそのあとです。

Q. LEDに替えたら暗くなりました。 A. 光の広がり方が変わるためです。真下は明るく、離れると暗くなることがあります。替える前と後で測って、数字で比べてください。器具ごと替えることで改善する場合があります。

Q. 非常用照明も照度測定の対象ですか。 A. 別の制度です。非常用照明は建築基準法の側で、建築設備定期検査の一部として扱われます。両方を別々に管理してください。

Q. 空気環境測定と一緒に頼めますか。 A. 頼めることが多くあります。同じ日にまとめられるかを業者に聞いてください。測定点の場所を、こちらで指定できるかもあわせて確かめます。

Q. 記録は何年残しますか。 A. 制度と自治体によって違います。所在地の保健所に確かめてください。変化を見るために、数年分を表にして残すと役に立ちます。

Q. 倉庫やバックヤードも測りますか。 A. 人が作業する場所であれば、労働安全衛生の側の基準が働きます。暗いまま放置されている場所は、つまずきや事故の原因になります。測定点に入れておいてください。

Q. 測定点はいくつ必要ですか。 A. 建物の規模と部屋の数によります。代表的な場所と、いちばん暗い場所が入っていることが大事です。数だけ増やしても、同じ条件の点ばかりでは意味がありません。

Q. まぶしいという苦情が来ました。 A. 明るさが足りていても、直接光が目に入ると不快になります。器具の位置、カバーの種類、机の向きを見直してください。測定の値だけでは分からない部分です。

Q. 照明を間引いて節電しています。問題になりますか。 A. 基準を下回れば問題になります。間引く前と後で測ってください。節電と基準の両立は、器具の配置を見直すことで解決できることがあります。

Q. 測定点に入っていない席から苦情が出ました。 A. その席で測ってください。測定点は代表的な場所を選んでいるだけで、すべての席を測っているわけではありません。足りなければ、手元の照明を足す方法もあります。

Q. 更新の効果を、どうやって示しますか。 A. 替える前と後の測定値と、電気の使用量を並べます。1フロアだけ先に替えて、結果を測ってから全体を決めるという進め方もできます。