照度測定とは?測る場所と回数、基準の考え方
目次
空気環境測定はやっているのに、照度は測っていない。ビル管法の対象になる建物では、照度も測って記録することが求められています。LEDに替えた建物では、以前より明るいはずなのに、位置によっては基準を下回っていることがあります。
この記事では、照度測定を、求められる場面、測る場所と回数、測り方、基準を下回ったときの直し方、記録の残し方の順に整理します。適用される規定は建物の用途と規模で変わります。自分の建物に何が適用されるかは、所在地の保健所に確認してください。
結論:明るさは数字で残す。見た目では判断できない
照度とは、面がどのくらい明るく照らされているかを表す量で、単位はルクスです。人の目は明るさに慣れるため、見た目では足りているかどうか分かりません。
測る理由は3つあります。
1つ目は、ビル管法の対象になる建物で求められているからです。建築物環境衛生管理基準の1つとして、照度の管理が定められています。
2つ目は、労働安全衛生の側でも基準があるからです。作業の種類によって、必要な明るさが定められています。
3つ目は、非常用照明が別にあるからです。停電のときに点く照明は、建築基準法の側の話で、定期検査の対象になります。
3つは別の制度です。混同すると、片方をやって満足してしまいます。自分の建物でどれが対象になるかを、先に整理してください。
どの建物が対象か
ビル管法の対象になるのは、特定建築物です。用途と延べ面積で決まります。
押さえるのは3つです。
1つ目は、用途です。事務所、店舗、学校、興行場、旅館など。
2つ目は、延べ面積です。一定の面積以上が対象になります。
3つ目は、除外される用途です。病院や工場などは、別の制度で管理されるため扱いが違います。
対象かどうかは自分で判断しないほうが確実です。用途が混ざっている建物では、判断が分かれます。所在地の保健所に、建物の用途と延べ面積を伝えて確かめてください。
対象でない建物でも、労働安全衛生の側の基準は働く場所に適用されます。事務所であれば、作業の内容に応じた明るさが求められます。
測る場所と回数
照度は、建物のどこでも同じではありません。測る場所の決め方が結果を左右します。
決めるのは4つです。
1つ目は、机の上の高さで測ることです。床ではありません。作業をする面の高さで測ります。
2つ目は、代表的な場所を選ぶことです。部屋の中央、窓際、いちばん暗い隅。いちばん暗い場所を必ず入れます。
3つ目は、毎回同じ場所にすることです。場所が変われば値も変わります。比べられなくなります。
4つ目は、回数です。ビル管法では、6か月以内ごとに1回とされています。
測る場所を図面に印を付けて残します。番号を振っておくと、記録の表と突き合わせられます。「去年はどこで測ったか」が分からなくなるのが、いちばんよくある形です。
測り方
測定には照度計を使います。測るときの条件をそろえます。
そろえるのは4つです。
1つ目は、時間帯です。窓のある部屋は、昼と夕方で値が変わります。毎回同じ時間帯にします。
2つ目は、自然光の扱いです。ブラインドを閉めるか開けるか。決めて、記録に書きます。
3つ目は、影を作らないことです。測る人の体が影を作ると、値が下がります。
4つ目は、照明を点けてから時間を置くことです。点けた直後は明るさが安定しないことがあります。
照度計は、定期的に校正が必要です。長く使っていると値がずれます。校正の記録も一緒に残してください。業者に測定を頼む場合は、校正済みの機器かを確かめます。
基準を下回ったときの直し方
値が足りない場合、照明を増やす前にやることがあります。
順番は4つです。
1つ目は、清掃です。照明器具のカバーと、ランプの表面。ほこりで2割ほど落ちることがあります。拭くだけで戻ることがよくあります。
2つ目は、交換です。ランプは時間とともに暗くなります。切れていなくても、暗くなっています。
3つ目は、配置の見直しです。机の位置を変えた、棚を増やした。照明の下から作業の場所がずれていることがあります。
4つ目は、器具を増やすか替えることです。ここでようやく工事になります。
1つ目と2つ目で戻ることが多くあります。「暗いから器具を増やす」と決める前に、まず拭いて、測り直してください。費用がかからずに解決することがあります。
LEDに替えたときの注意
蛍光灯からLEDに替える建物が増えています。明るくなるとは限りません。
注意するのは4つです。
1つ目は、光の広がり方です。LEDは光が直進しやすく、真下は明るく、離れると暗くなることがあります。
2つ目は、器具ごと替えるか、ランプだけ替えるかです。ランプだけ替えると、器具の反射板が合わないことがあります。
3つ目は、替えたあとに測ることです。替える前と後で測り、数字で比べてください。
4つ目は、まぶしさです。明るさは足りていても、直接光が目に入ると不快になります。
3つ目を必ずやってください。替えた直後は誰も測らず、半年後の測定で下回っていることに気づく形が起きます。替える工事の見積もりに、前後の測定を含めてもらうと確実です。
非常用照明は別の制度
照度測定とよく混同されるのが、非常用照明です。これは建築基準法の側の設備で、目的も点検の方法も違います。
違うのは3つです。
1つ目は、目的です。停電したときに、避難できる明るさを確保するためのものです。
2つ目は、確かめ方です。電源を切って点灯するか、定められた時間点き続けるかを確かめます。
3つ目は、報告先です。建築設備定期検査の一部として、所在地の特定行政庁へ報告します。
普段の照度が足りていても、非常用照明が点かないことがあります。バッテリーは数年で劣化します。両方を別々に管理してください。
労働安全衛生の側の基準
働く場所の明るさについては、事務所衛生基準規則などで基準が定められています。
押さえるのは3つです。
1つ目は、作業の区分です。一般的な事務作業と、付随的な事務作業で必要な明るさが違います。
2つ目は、点検の頻度です。照明設備について、定期的に点検することが求められています。
3つ目は、まぶしさへの配慮です。明るければよいというものではありません。
この基準は、ビル管法の対象でない建物にも適用されます。小さな事務所でも、働く人がいれば対象です。扱いに迷うものは、所轄の労働基準監督署に確かめてください。
記録の残し方
照度の記録は、表にして並べると価値が出ます。1回ずつ紙で残すだけでは、変化が見えません。
作るのは4つです。
1つ目は、測定点の番号と場所の一覧です。図面と対応させます。
2つ目は、測定の日と時間帯です。
3つ目は、各点の値です。回ごとに列を足していく形にします。
4つ目は、条件の欄です。ブラインドの開閉、天候、直前に清掃したか。
3つ目を横に並べると、下がっている点が見えます。同じ点が回を追うごとに下がっていれば、ランプの寿命か汚れです。下がり始めた時点で手を打てば、基準を割る前に戻せます。
業者に頼むか自分で測るか
照度の測定は、自分たちでも行えます。空気環境測定と一緒に業者へ頼んでいる建物が多いのですが、分けることもできます。
比べるのは4つです。
1つ目は、費用です。照度計は購入できる価格です。毎回の外注費と比べます。
2つ目は、手間です。測定点が多い建物では、半日かかることがあります。
3つ目は、機器の校正です。自分で持つ場合、校正の管理が必要になります。
4つ目は、まとめて頼めるかです。空気環境測定と同じ日にできるなら、外注のほうが楽なことがあります。
建物が1つなら外注、複数あるなら自前という分かれ方が多くあります。ただし記録の付け方は、どちらでも同じです。測定点の図面だけは、自分たちで持ってください。
測定を空気環境測定と同じ日にする
ビル管法の対象になる建物では、空気環境測定を2か月以内ごとに行います。照度は6か月以内ごとなので、同じ日にまとめられます。
まとめる利点は4つです。
1つ目は、立ち入りが1回で済むことです。テナントの部屋に入る連絡が1回になります。
2つ目は、測定点をそろえられることです。空気を測る場所と照度を測る場所を同じにすると、図面が1枚で済みます。
3つ目は、記録が並ぶことです。同じ日の空気と明るさが1つの表に並びます。
4つ目は、費用が下がることです。出張の回数が減るぶん、まとめたほうが安くなることがあります。
業者に「照度も同じ日にできますか」と聞くだけです。断られることはほとんどありません。年に2回の照度測定のうち、少なくとも1回は空気環境測定と重ねる形にすると、手間が半分になります。
苦情から始めることもある
測定の結果が基準の中でも、「暗い」という声が出ることがあります。数字と体感が違う場面です。
見るのは4つです。
1つ目は、その人の作業の内容です。細かい字を読む作業では、基準を満たしていても足りないことがあります。
2つ目は、席の位置です。測定点から離れた場所は、測っていません。その席で測り直してください。
3つ目は、光の色です。色温度が低いと、同じ明るさでも暗く感じることがあります。
4つ目は、まぶしさとの兼ね合いです。画面に光が映り込んでいると、暗くしたくなります。
「基準は満たしています」で終わらせないでください。測定は建物の管理のためのもので、そこで働く人が困っていれば別の問題です。席の上で測り直し、必要なら手元の照明を足すという解決の仕方があります。
器具の更新を計画に入れる
照明は、壊れてから替えると計画が立ちません。測定の記録を使って、更新の時期を決めます。
決めるのは4つです。
1つ目は、器具の設置年です。竣工からそのままか、途中で替えたか。器具そのものにも寿命があります。
2つ目は、測定値の推移です。同じ点が回を追うごとに下がっているなら、器具の劣化が進んでいます。
3つ目は、フロアごとの優先順位です。人が多い場所、作業が細かい場所から替えます。
4つ目は、まとめて替えるか、少しずつかです。まとめると単価が下がり、少しずつだと予算が平準化します。
照明の更新は、節電の効果と一緒に説明すると通りやすくなります。明るさが足りないという理由だけでは予算が付きにくく、電気代がいくら下がるかを添えると判断されやすくなります。測定の記録は、その説明の土台になります。
まとめ
照度測定は、建物の明るさを数字で確かめて記録するものです。
- ビル管法の特定建築物では、6か月以内ごとに1回とされている
- 測るのは机の上の高さ。いちばん暗い場所を必ず入れ、毎回同じ場所で測る
- 下回ったら、清掃、ランプの交換、配置の見直し、器具の順に見る
- LEDに替えたら、替える前と後で測って数字で比べる
- 非常用照明は別の制度。建築設備定期検査として特定行政庁へ報告する
適用される規定は建物の用途と規模で変わります。自分の建物に何が適用されるかは、所在地の保健所に確認してください。
よくある質問
Q. 照度計はどこで買えますか。 A. 測定器を扱う会社から購入できます。校正のできる製品を選んでください。安価なものは値のずれが大きいことがあります。測定を業者に頼んでいる場合は、その業者に相談すると型番を教えてもらえます。
Q. 測る高さは決まっていますか。 A. 作業をする面の高さで測ります。事務室なら机の上、廊下なら床面という考え方が使われています。毎回同じ高さにすることが大事です。記録に高さを書いておいてください。
Q. 窓のある部屋は、どう測りますか。 A. 自然光の影響を受けるので、ブラインドの開閉を決めて記録に書きます。時間帯も毎回そろえてください。条件が変わると、前回と比べられません。
Q. 基準を下回っていました。すぐ工事が必要ですか。 A. まず照明器具とランプを拭いて、測り直してください。ほこりで2割ほど落ちることがあります。次にランプの交換、配置の見直し。工事はそのあとです。
Q. LEDに替えたら暗くなりました。 A. 光の広がり方が変わるためです。真下は明るく、離れると暗くなることがあります。替える前と後で測って、数字で比べてください。器具ごと替えることで改善する場合があります。
Q. 非常用照明も照度測定の対象ですか。 A. 別の制度です。非常用照明は建築基準法の側で、建築設備定期検査の一部として扱われます。両方を別々に管理してください。
Q. 空気環境測定と一緒に頼めますか。 A. 頼めることが多くあります。同じ日にまとめられるかを業者に聞いてください。測定点の場所を、こちらで指定できるかもあわせて確かめます。
Q. 記録は何年残しますか。 A. 制度と自治体によって違います。所在地の保健所に確かめてください。変化を見るために、数年分を表にして残すと役に立ちます。
Q. 倉庫やバックヤードも測りますか。 A. 人が作業する場所であれば、労働安全衛生の側の基準が働きます。暗いまま放置されている場所は、つまずきや事故の原因になります。測定点に入れておいてください。
Q. 測定点はいくつ必要ですか。 A. 建物の規模と部屋の数によります。代表的な場所と、いちばん暗い場所が入っていることが大事です。数だけ増やしても、同じ条件の点ばかりでは意味がありません。
Q. まぶしいという苦情が来ました。 A. 明るさが足りていても、直接光が目に入ると不快になります。器具の位置、カバーの種類、机の向きを見直してください。測定の値だけでは分からない部分です。
Q. 照明を間引いて節電しています。問題になりますか。 A. 基準を下回れば問題になります。間引く前と後で測ってください。節電と基準の両立は、器具の配置を見直すことで解決できることがあります。
Q. 測定点に入っていない席から苦情が出ました。 A. その席で測ってください。測定点は代表的な場所を選んでいるだけで、すべての席を測っているわけではありません。足りなければ、手元の照明を足す方法もあります。
Q. 更新の効果を、どうやって示しますか。 A. 替える前と後の測定値と、電気の使用量を並べます。1フロアだけ先に替えて、結果を測ってから全体を決めるという進め方もできます。